第5話:私服装備と初めてのぬくもり
<これは2015年1月29日に投稿したものを再編集した記事です>

前回、エオルゼアの常識に打ちのめされた私。
しかし、「冒険はこれからだ!」ということで、再び歩くことを決めました。
そうしてメインクエスト、サブクエスト、F.A.T.Eを攻略していくうちに、だんだんとエオルゼアにおける生活リズムが確立されていきます。
まずログインした時に立っているのは、必ずレストエリア。
レストエリアとはエーテライトがある都市内のことで、滞在した時間に応じてレストボーナスがもらえる仕様となっています。
レストボーナスはログアウトしている間にも蓄積されるので、自然とゲームを終了する際にはレストエリアに戻ってくるようになりました。
レストボーナスを獲得すると経験値を入手した際にボーナスがつくので、レベル上げが非常に楽になります。
簡単な流れは以下の通り。

ゲーム開始時はレストエリア。

出発してメインクエスト、サブクエスト、F.A.T.Eを巡り、

ゲームを終了する際にレストエリアに戻ってくる。
これを繰り返し、どんどん活動範囲を広げていく私。
それに応じてデジョンやテレポといった、レストエリア間を移動する魔法のことも理解していきました。
この2つは全クラスで使える万能魔法とのことですが、テレポの仕様にいたく絶望したのを覚えています。
たぶん、日本の増税政策の影響がエオルゼアにも響いているのでしょう。
おのれ、政治家どもめ!
◆
絶望したといえば、前回お金の入手に関して地面に座り込んだ私でしたが、お金はメインクエストやサブクエストを達成することでももらえたため、うまく貯金すればそれなりに貯めていけることに気付き、持ち直しました。
そのお金をどう使うかは人それぞれですが、私の場合は、

こんなことを思っていました。
私が新生エオルゼアを始めようと思ったきっかけは、一撃確殺SS日記というブログに影響を受けたから。
そのサイトに登場しているマイディーさんは、「冒険する時は冒険用の服装をし、まったりする時は私服で過ごす」、というメリハリをつけてエオルゼアを生きているとのことで、私もそれをやってみたいと思ったのです。

さっそく一生懸命貯めたお金を握りしめ、マーケットへ。
そこには他プレイヤーが売りに出している様々な品がありました。
その中で気になった装備を少ない予算内で購入。
さらに、サブクエストの報酬で入手した装備を組み合わせて、

こんな感じの服装となりました。
グリダニアの田舎っ子をイメージに、冬なので手袋を着用しておこうという季節感を取り入れた私服。
なお、スカートは初期装備から変えておらず、ブーツは当時のシーズナルイベントの報酬を使用しています。
あれは初心者にも優しいイベントで、良い思い出です。

実はブログ内でも何度か登場しているこの服装、その実態は私が私服に指定している装備でした。
その性能は私服ということでお察しのレベルですが、エオルゼアの生活にメリハリがつき、モチベーションが高まりました。
◆
そんなある日のこと、私はいつものようにメインクエストを受けながら、F.A.T.Eを巡っていました。

今回の相手はクルピラ。
前回のジュバよりも巨体で禍々しいその外見に、もはやジブリではなくバイオハザードを連想する私。
いましたよね、こんなやつ。

それでも果敢に攻撃!
日々の積み重ねでレベルがあがり、新しいスキルも身に着けた私に射抜けぬものなし!
モンスターとのレベルもほぼ同じだし、この勝負もらった!
しかし、私は忘れていたのです――この世界がいかに残酷であるかを……

体力が多い、攻撃力が高い、おまけに毒による継続ダメージが痛い。
今回相手にしたクルピラは、私の想像を絶する強さの持ち主でした。
噛みついた野良犬の尻尾が、実は狼のものだったというような現状。
背を向けて逃げることも考えましたが、こちらの体力はもはや尽きる寸前。
これでは逃げ切る前に力尽きてしまう可能性の方が高い。

ならばいっそ、死ぬまで戦うことを選択。
1矢でも多く、1撃でも深く、このカプ●ンから出てきたようなモンスターに喰らわせてやる!
そうして、走馬灯のようなものが見えた時でした――

私の尽きかけた体力が、淡い光とともに回復したのです。
い、いったい何が?
事態が飲み込めず混乱していると、私の横を1人の剣術士と魔道士が過ぎて行き、クルピラに攻撃を仕掛けていました。
まったく知らない装備、見たことのないスキル。
そして、まったく見覚えのないプレイヤー名。
その中でたしかに理解できたのは、彼らがこのレベルのF.A.T.Eをこなす必要がない上級者である、ということでした。

私はこの出来事を忘れる事ができません。
剣術士はすぐさまクルピラのターゲットをとり、魔道士は私の回復を終えると、攻撃魔法で援護にまわっていました。
見ず知らずの初心者が困っている、そう感じて助けてくれたのでしょう。
あっという間にクルピラを倒してしまったその2人は、何も言うことなくチョコボに乗り、颯爽と去っていきました。
その姿は、ただただ格好よかったとしか言いようがありません。
あわててお辞儀のエモーションをしましたが、2人がそれに気付いていたかどうかは不明です。
◆
彼らにとって、私を助けたのはただの気まぐれだったのかもしれません。
でも、私にとってこの出来事がどれほど嬉しかったか。
どれほどの希望になったことか。
初めて感じた他プレイヤーの善意に、体が震えたものです。
「いつか、いつかあんな冒険者に!」、 そんな憧れを胸に秘めながら、私の冒険は続いていくのでした。