オマケ②:彷徨う夜

前回のあらすじ。
エオカフェに行こうと出発したら、かに道楽に着きました。
◆

えぇ、なんで? なんでかに道楽?
おかしいな、どこかで道を間違えたかな?

いや、間違えるほうが難しくないこれ?
左行って真っ直ぐ行けばエオカフェのはずなのに。
あ、もしかしてあの店、エオカフェなのでは?
ミラプリで外面をかに道楽に変えてるだけなのでは?
そうですよ、そうに違いない。
前回「これは猿でも着ける」とか言った手前、そうであって欲しいと願わずにはいられない。
断じて私が猿以下というわけではないのだから。
◆
希望的観測はこのくらいにして、再度場所を検索。
そうして、


エオカフェの目と鼻の先ににある建物、ドラゴンボウルに到着。

ちょっと電池残量が死に物狂いで検索をかけたことを証明していますが、どうか目を瞑っていただきたい。
私も猿以下にならないよう必死なんです。
イナゴ>猿でありたいのです。
ともあれ、ここまでくれば勝確。
これはエオカフェで勝利の美酒に酔いしれるしかありませんね。


どこ?
エオカフェ、どこ?
あれ、目と鼻の先まで来てるはずなのに見えない、バグかな?
どうやらモブハントで人が集まり過ぎてモンスターが見えなくなる的なあれが、現実世界で発生している模様。
もしくはエオカフェ自体が忍者のスキルを使って隠れている様子。
おのれ、冒険者である私を試すか。
しかし、相手が悪かったですね。
こちとら東京のダンジョンを制してアクキーを手にした英雄。
こういう時、体ではなく目を動かすことを私は知っています。
グーグルからの情報で、このあたりにエオカフェが潜伏していることは明らか。
けれども、

このへんを凝視するのは初心者未予習若葉ちゃんプレイ。
そう、真の英雄は――

上を見る!!
一見して見当たらなかったということは、どこかのビルのフロアに展開しているということ。
ならば視界に入れるべきは店そのものではなく、店の看板。
この機転と着眼点はまさに、巨大な蛮神を見上げて戦ってきた光の戦士ならではと言ったところ。
さぁ、見つけてやりますよエオカフェ。
どうせ小洒落た感じに「Eorzea cafe」と英語で書いてあるのでしょう。
虫扱いされてる冒険者にすぐ発見されちゃうとか悲しい運命ですね!!

違ったうえに、ありませんでした。
◆
大文字の「E」を見つけて内心ガッツポーズを決めた私でしたが、どうやら残像だったようですね。
このイナゴを謀るとは、やるじゃないですかエオカフェ。
そんなわけで近くまでは来ていると思うのですが、どうにも見当たらないので移動。
その間も注視するのは店の看板。
絶対にどこかのビルの中にあると信じ、足を動かします。
しかし、その姿が道に迷った観光客に見えてしまったのでしょうか、

なんとキャッチに捕まってしまいました。
ば、馬鹿な、11月の夜に雨が降る中で傘もさしていない浴衣姿のイナゴを、獲物と認識したなんて。
カマキリか、カマキリの刺客かっ!!


「じゃあ」っておかしいよ、ぶらぶらしてるだけって言ってるでしょうよ。
あなたの店の中で歩き回ってやろうか。
坂本九さんの歌のように、上を向いて歩いてるんですよ。
エオカフェを見落とさないように、歩いてるんですよ!

こ、このままでは逃げられない。
けれども、こういうピンチを乗り越えてこそ真の英雄。
このイナゴが「もしもの時」を考えていないとでも思うたかっ。
対キャッチ用のとっておきの言葉、受けるがよい!!


完全勝利です。
これぞイナゴの宝具の1つ、架空のお友達召喚(サモン・ザ・エアフレンド)!
キャッチにとってこの言葉は効果覿面。
無事に撃退出来たので、気を取り直してエオカフェを探すことに。
◆

危機を脱してエオカフェへと思ったのですが、なぜかさっきのキャッチを皮切りにむちゃくちゃ捕まる事態に。
11月を夏だと思っている精神異常ヒカセン装備、完全に通用せず。
さすがは大坂、侮っていました。
にしてもキャッチの人ってとても話し易いですね。
着いて行こうとは思わないですが、丁寧且つフレンドリーで怖いイメージがまったくありません。
話題さえ合えば普通に立ち話が出来そうなほどです。

そうして何度もキャッチに捕まる内、私は以下のようなことを閃きました。
「そうだ! 次キャッチで捕まったら、その人にエオカフェの場所を聞こう」
どうですか、我ながらナイスアイディア。
自分から話しかけることなく目的地を聞けるとか、革新的と言わざるを得ない。
さらにその質問に、「友達とそこで待ち合わせしてるんですよねぇー」とちょっとした嘘を添えればキャッチからの離脱まで可能。
やばい、天才的過ぎてやばい。
この発想と臨機応変さはまさに、敵の攻撃さえも利用してダンジョンを踏破してきた光の戦士ならではと言ったところ。

さっそく来ましたね!
この私の案内役になるとも知らないで、愚かなキャッチマンよ。
さぁ、友達がいる(いない)エオカフェまで連れていってもらいましょうか!


え?


こ、これは計算外!!
よもやキャッチの人が知らないなんて。

いや、そもそも私の聞き方が悪かったのでは?
当たり前のように「エオカフェ」って言いましたけど、あれって完全に略称ですよね。
ならばキャッチの人が分からなかったのも当然ではないでしょうか。
人にものを聞く際には正式名称で問うのがマナー。
これは私に非がありましたね。
しかし、エオカフェの正式名称が「エオルゼアカフェ」で正解なのか自信が持てないイナゴ。
もしかしたら「ファイナルファンタジーフォーティーン エオルゼアカフェ」かもしれない、などと思い始めます。
けれど、そうなると目の認識も改める必要が出てきました。
今まで私は「エオカフェ」基準で看板を見ていたいため、「E」や「エオルゼア」という文字に反応していたのです。
もし「ファイナルファンタジーフォーティーン エオルゼアカフェ」が正式名称ならば、看板にもそう書いてあるはずなので、「Fa」もしくは「ファイナル」に反応するようにしなければなりません。
もっとも、そういった意識改革はお手のもの。
こういう器用さと切り替えの早さは、討伐クエストと思っていたら懐柔クエストであることに気付き、ぎりぎりのところで「なだめる」を遂行した経験を持つ光の戦士ならではと言ったところ。
そうしてついに、私は見つけることが出来ました。
ご覧ください、「ファイナル」という文字を煌々と掲げるあの看板を!

JAROに電話してやろうかと思いました!!!