第34話:オフ会参加録④「愚かなる暴走」

前回のあらすじ。
無料見積もり出したら名札の印刷代が68100円だったので、幹事のモピ―さんに慌ててDM。
すると、以前のオフ会の名札(マエルさん作)のことを聞けたのですが、私が聞いた情報と違っていて焦りました。
◆


マエルさんは印刷所でやってもらった的なことを仰ったけど、モピ―さんは家ではさみでやった的なことを仰る。
おかしい、これは・・・何かがあったに違いない。
マエルさんが嘘をついたのか? 否、今回不参加で無関係の人が嘘をつく理由がない。
モピ―さんにしたって、誤情報を流して私を混乱させたところで意味がない。
これはもしかして、裏に第三の勢力がいるのでは――なんていう妄想になど至らず、当時の私はひたすら困惑。
とはいえ、それをはっきりさせたところで事態が好転するわけもなし。
今は思考を切り替えて「印刷所はお高い問題」を解決せねばなりません。
そんな折、

モピーさんからこのような助言をいただきました。
なるほど、印刷所に頼らず自宅のプリンターで簡単に出来る方法ですか。
たしかにそれなら我が家にある物でも出来そう。
あと、お見積りで6万超えは私もびっくりした、心肺停止するかと思った。
◆

モピーさんの助言により、自宅での名札制作が決定。
最初から最後までイナゴが手掛ける安心安全の名札、災厄を退け虫を呼び込むアイテムになりそう。
さっそく電気屋に用紙を見に行くことに。
しかし、この時の私の返信が言葉足らずだったため、

モピ―さんに余計な心配をかけてしまいました。
たしかにこの流れで「電気屋行ってくるー!」とか言われたら、そりゃそう思いますよね。
下手したら6万円以上の買い物しそうですもんね。
安心してください、古いですがプリンターは家にあります。
電気屋に行くのは用紙の確認のためです。
あと気合入れるためにお寿司食べてきます、へへへ。

モピ―さん優しい!!
でも、そこは私の創作魂が譲らない。
少し前まで印刷所に頼ることを考えていましたが、今はもう最初から最後までやると決めました。
1度決意したらどんなに困難でも作る――それが創作者というものです。
じつはわりと面倒くさい生き物ですからね、仕方ないね。
大丈夫ですよ、そんなにお金かけるつもりないですから。
えぇ、そんなつもり――ないですとも。
◆

ということで、ちょっと遠出してケーズデンキにやってきました。
お値段を気にするならここですよね、なんたって新製品が安いケーズデンキですからね。
さて、モピ―さんは普通紙でいいと言っていましたが、あんなペラペラな紙じゃ私の創作魂は受け止められない。
ここはやはり、名刺用の厚紙(アートポストとかいうやつ)を買いたいところ。
先ほどの「お金をかけるつもりはない」発言はどこへやら。
おそろしく早い手の平返し、イナゴじゃなきゃ出来ないね。

そうして見つけてしまった名刺用の厚紙。
何種類かありましたが、気になるお値段は高いものでも1000円以下。
おそろしく安い用紙、イナゴじゃなきゃ見逃しちゃうね。

しかし、ここで即買いはしません。
なぜなら、今回の名札サイズのものがなかったから!!
はい、そうです。
じつは私――

この袋サイズの用紙が普通に売ってあると思っておりました。
こう、遊戯王カードみたいに破りやすい袋に入って「お徳用10枚入り!」みたいな感じで。
なのでこのサイズの名刺用紙を求めて前記のケーズデンキに加え、そこよりもさらに離れたエディオンにも足を運んでいます。
しかし、どれだけ探してもない。
あるのは一回り小さい物(一般的な名刺サイズ)ばかり。
それもそのはず、

これにぴったりのオリジナルサイズの物なんか、売ってるわけがない。
なのでモピーさんがDMで言っていた通り、大きめの紙に印刷して切り出すしかないわけですが、

当時の私は売っていないので、普通の名刺サイズの用紙で代用するという結論に至ります!!
もうすっかりその気になっているため、モピ―さんが用意してくれる予定の名札入れまでちょっと購入。
けれども当初の予定と紙のサイズが違うため、

もれなく小さめの名札入れも購入。
「お金をかけるつもりはない」と言っておきながら、遠慮なしにお金をかけていく裏切りスタイル。
しかも余計なことにしかかけてない、今考えると相当やばい日本政府みたいな所業。
モピ―さんは安全靴をはいて私にハイデリンキックをかましていいレベルです。
◆

真のやばたにえんと化したイナゴ。
表のデザインは決まった、裏のデザインも作った、そして用紙と名札入れは購入した。
あとは家のプリンターを使って印刷するのみ。
もはやこの名札制作に悪い意味で王手。
しかし悲しきかな、当時の私を止める者はいない。

勢いに任せてフォトショが入っているマイパソコンに、プリンターのディスクを投入。
あとはインストールを完了させ、量産体制に入るのみ。
こうして創作者の勘違いと暴走により、総勢26名の名札は歴史的駄作となるのでした。

否、そうはならなかった!!
インストール完了前にまさかのエラー。
どうやら家のプリンターが古過ぎて、私の使っているパソコンとは互換性がない模様。
ぎりぎりのところで抑止力が働いたかのようなこの感じ、まさかハイデリンの仕業でしょうか。

働いた抑止力に対して本気でご立腹のイナゴ。
もうその存在は光の戦士というよりアシエンに近いかもしれません。
しかし、どう足掻いたところで互換性がないのはどうしようもない。
幸か不幸か、名札の印刷は諦めざるを得ない状況に。
しかし――



続・当時の私を止める者はいない。
ハイデリンの抑止力? そんなものアシエンの力で捻じ伏せる。
そそくさと家族に許可をもらい、プリンターとパソコンを期間限定で私物化。

USBメモリによるデータ移動完了、名札データの表示完了、用紙のセット完了!
いざリアルに具現せよ、やばたに名札よ!!
そうして、

試作品第1号がリアルで完成。
けれども一般名刺サイズのため、従来の名札より明らかに小さい。
小さいということはそれだけインパクトに欠けるうえ、文字が見えにくいということ。
オフ会当日、自分を除く25名の光の戦士と「はじめまして!」をする私にとっては由々しき問題。
いや、しかし――私だけの問題ならば別にいいのでは?

そんなわけで試作品第1号をDMにて公開。
すると、思った以上に皆さんの反応は良好。
けれど・・・それもそのはず。
なんせ画像では明確なサイズなど伝わらない。
こうして形に出来たとはいえ、従来のものとはまったく異なる今回の名札。
はたして、これでいいのか?
ちなみに従来の名札入れに先の名札を入れると――

こうなります。
小さい、明らかに小さい。
なんか名札が取り込まれてる感じがする。
描かれているモピーさんがSiriを使って脱出方法を探しているように見える。
本当に、これでいいのか?
いや、よくはない。
よくはないけど――サイズ通りの紙が売ってないんじゃ仕方ない。
田舎か、田舎に住んでるのが悪いのか・・・。
そんなふうに思っていると、

この試作品を見たモピ―さんから問い合わせのDMが届きました。

出だしから不安そう。
そりゃそうですよね、お金かけないって言ったのにケース買ってますもんね。
しかもこのケースは従来の名札で使用されている物じゃないですし。
そうして会話のやり取りが進んでいく中で私は――

ようやく正規のやり方に気付いたのでした。
そして、

怒られたのでした。
イナゴ知ってる、これ「w」ついてるけど、わりとガチのやつです。
本当に申し訳ございませんでした!!
次回、起死回生の名札制作へと続きます。