第4話:ヴォーテックスの壁

前回のあらすじ。
誰もお前を愛さない。
◆

どげんかせんといかん!!
ここから立て直してオムさんを仕上げるにはどうしたらいい?
教えてくれウーフェイ、Saiはなにも言ってはくれない。

やるしかない。
やらなきゃ完成しない。
もはや立て直しどころか整形――否、遺伝子組み換えレベルの作業だとしても。
ここからオムさんを作り上げる。
◆

とにもかくにも大まかな形はこれで問題ないでしょう、たぶん。
だからまずはバランスを整えます。
頭部は・・・おそらく大丈夫なので胴体でしょうか。
うん、とりあえず胴体はおかしいですね。


頭部もおかしいですね。
イナゴ気付きましたよ。
なーにが「おそらく大丈夫」ですか、日本政府みたいなこと言いやがって。
数分前の自分こそ修正対象でしたね、反省。
そんなわけで、

頭部も直しました。
いいですね、バランスよくなってきた気がします。
そういえば今回のオムさん、見ての通り左腕が曲がっているわけなんですが、

じつはここに武器を装備させようと思っていまして。
というのも、おかんが光のシャモジを持っているので、オムさんにも何か持ってもらおうと思った次第。
しかし、

オムさんのこれという武器が思いつかない。
弓であることは確かなのですが、お気に入りとかあったでしょうか?
私はその謎を解き明かすべく、オムさんの父親であるライムさんにDMを送りました。
すると以下のような返事が――



こんな感じの光ってて羽がシャキってるガールダの弓。
ちなみに数年前に誕生日プレゼントとして私がFCメンバーからもらった弓でもある。

ヴォーテックススパインかー。
そっかそっかー。
ふぅーん、

当然の反応ですよね。
無理無理、マエルさんの杖レベルじゃないですか。
もっとこう、コンポジットボウみたいなものじゃないと困りますよ。

だいたいあんな洒落乙な装備、初心者のお子様が持っていいと思ってるんですか?
リアルで言えば未成年なのにベンツ持っているようなものですよ。
どこの光の戦士が甘やかしたのか知りませんが、まったくもってけしからんです。
このイナゴが大人になるまで預かっておいてあげますよ、お年玉のようにね。
そんなわけでオムさんの装備は描かない方向でいこうと思ったのですが、

父親が不満そうなんですよね。
いやいや、「えー(´・ω・`)」じゃないんですよ。
なんですか、ライムさんがヴォーテックススパイン描いて送ってくれるんですか?
細部まで描いて、色つけて、拡張子やサイズ合わせて、DMで送ってくれるですか?
自分が出来もしないことを他人に求めるなんて、そんな大人は修正しちゃいますよ?

私が女みたいな名前だったらストレートを繰り出しているところです。
よかったですね、私の名前がイナゴで。
間違えた、イフで。
◆
そんなわけでオムさんの武器装備案はなくなりました。
私的にはハードルが少しさがって安堵している次第。
曲げた腕の先にはいちおう手くらい描いておきましょうかね。


どうにも作業の手が進まない。
いったいなぜ・・・。
ま、まさか、武器を描かないことへの罪悪感。
あの親子の期待を裏切ってしまったのではないかという不安が、私の手を鈍らせているとでもいうのかっ。

くっ、これがオヤジの狙いか!!
やってくれましたね、ライムさん。
あの返信は後々効いてくる毒のようなものだったわけですか。
まったく親子揃って大した光の戦士ですよ。

分かりました、描きますよ。
オムさんの武器であるヴォーテックススパイン、必ずや完成させてみせましょう。
よく考えたら自分で出来ないことは他人に頼って然るべきですよね。
それが助け合い――それが人の在り方なんですから。


でかくない?
ヴォーテックススパイン、でかくない?
えっ、大丈夫これ、描いたことによってオムさんのイケメンが隠れません?
なんか弓が本体みたいな感じになる気がするんですけど・・・


あっ・・・。
これは駄目ですね。
持ち主の顔が半分くらい隠れますもんね。
召喚士のバハムートくらい自己主張しちゃう弓でしたね。

ヴォーテックススパイン装備案は不採用に決定。
厳正なる試行の結果、誠に残念ではございますがーってやつ。
仕方ない、これは仕方ない。
下書きまでしておいてなんですが、逆を言えば下書きまではしたので許してもらえるはず。
オムさんはもちろん、ライムさんとその奥さんも許してくれるはず。
いちおう腕の先には拳つけておきますね。

うん、オッケー。
後々ちゃんとしたの描くので、今はこれで堪忍してつかぁさい。
ていうか、

手にもなんか
弓といいグローブといい、若いからってお洒落が過ぎますよ。
こういう部分はお父さんを見習ってほしいですね。
あの人のキャラの手はそれはもう一般人みたいにシンプルで滑らかなラインを――


ゴツゴツしてるうえに包帯巻いてる!!
全然シンプルでも滑らかでもなかった。
一般人どころか北斗の拳のキャラみたいな手してた。
えぇい、どこまでも思い通りにならない親子ですね。
こんな調子ですが、はたしてオムさんが完成する日は来るのか――次週に続きます。