第35話:サスタシャ村1周年記念公演

前回のあらすじ。
当FC、苦労の末にFCハウスを入手。
ようやく自分達の場所を持つに至るのでした。
◆
念願のFCハウスに興奮冷めやらぬFCメンバー。
各自個人部屋を作ったり、家具を置いたり、「庭には木人を置こう!」などの声があがります。
そんな中、「使用人の種族はどうしよう」という話題に。
これはなかなかに難しいですよね。
個人で好きな種族って異なりますし、雇える使用人の数には上限がありますし。
もちろん当FCも最初はまとまらず、やがてクラゲさんがこんな決定をされます。


なるほど、いいかもしれません。
使用人を使ってFC内の種族バランスを均等化する、これは妙案です。




たしかにうちにエレゼンはいません。
ヒュラは私のメインですが、今はこの通り
でも、いつか元に戻ったら同じヒュラ同士で仲良く出来そうです。


「やだ」とか言われました。
いやいや、私のメインなんですけど。
人間差別反対、駄目絶対。


事態をややこしくするんじゃないよ、このララコンが!
ララフェルはリリさんとえみるんがいるでしょうよ、このララコンが!
この後、なんやかんやあってクラゲさんの案は流れていくことになります。
◆
上記で「いつかヒューランに戻る時」みたいなことを書いていますが、意外にもそれはすぐ訪れました。
冬のある日、EVEハウスにてとある催しが開催されます。
それは――サスタシャ村1周年記念公演!
※サスタシャ村とは、一撃確殺SS日記にて紹介されている「サスタシャに行こう!!」という企画が実施されてしばらく、サスタシャ前に多くのプレイヤーが集ったことで生まれたコミュニティのこと(当サイトでは、カテゴリ:私が歩んだエオルゼアの1ヶ月 第15話~第18話で取り上げています)
してその催しの内容は、当時サスタシャ村にいたプレイヤーがEVEハウスに集い、企画の主催者であったマイディーさんを招いて話を聞くというものでした。
このイベントにサスタシャ村出身者である私は誘われたのですが、

当日けっこうバタバタしておりました。
公演前にやれることはやって服装を決めなければと思っていましたが、これがなかなかに難しい。
他の人がどんな装いで参加されるのか、まったく見当がつきません。
もしかしたら、パーティーに行くような派手な格好かもしれない。
いや、マイディーさんの話を聞く手前正装かもしれない。
あるいは意表をついて、トナカイとか雪だるまという可能性も。
こうしてあれこれ悩んでいるうちに私は――

そんな当たり前の事に気付いたのでした。
というわけで、

幻想薬を使い、一時的にヒューランに戻りました
ちなみに服装はサスタシャ村当時の装いとすることに。
我ながら懐かしくも田舎くさい格好です。
でも、これでいい。
これが、私らしさですよ。
◆

今回の公演に際してEVEの地下はこんな感じに。
もとはお風呂場だったのですが、匠の業が発揮されていますね。
うちのFCもいつかハウスの地下をいじる日がくるでしょうか。
そんなことを考えていると、

定刻になり、サスタシャ村1周年記念公演が始まりました。
花火があがり、クラッカーが鳴り、詩人が詩歌を奏でるどんちゃん騒ぎ。
時が経ってもこうして集えば蘇る、サスタシャ村の「ガヤ」。
それを鎮めつつ、イベントを進行していったのが、

サスタシャ村の村長であり、EVEのマスターでもあるアミティーさんでした。

そこはかとないアシタカ臭。
詩人は歌ってなんぼですからね、仕方ないです。
さておき。
騒ぎが治まると、いよいよメインイベント。
壇上にあがるは、

一撃確殺SS日記の管理人であり、「サスタシャに行こう!!」企画の主催者であるマイディーさん。
そのお話は挨拶と、「サスタシャ村出身のみなさんのことを我が子のように思っています」という言葉から始まり、エオルゼアで1年経った私達へのアドバイスにうつっていきました。

あれからもう1年。
私達はサスタシャ村を後にし、一人前の冒険者となりました。
しかし、だからこそしてしまう「1年目の失敗」についてマイディーさんは語られます。
人はそれだけの時間同じ場所にいると、緊張感が薄れていき、自分自身の「我」が出始めるそうです。
それゆえに生じるエオルゼアでの失敗。
それは、人間関係のトラブル。
1年もプレイしていると、自信もつき、自分なりの考えが出てきてしまう頃合い。
かぶっていた猫の皮が剥がれてしまう時期。
この時に人間関係のトラブルは起きやすいとのこと。
もちろん、成長して慣れてくることは悪いことじゃない。
だけど、その過程で少しずつ大切なことがぼやけ、忘れられていく。
みなさんはエオルゼアに「何をしたい」と思って来たのか。
みなさんは、仲間と共にこの世界で生きてみたくて来たのではないか。
今、それが出来ていますか?
人を憎んだり、蔑んだりしていませんか?
そんな自分を最初の頃思い描いていましたか?
もう1度振り返ってみてほしい、本当に自分がやりたかったことを。
オンラインゲームでのコミュニケーションは難しい。
文章だけでは言葉の意味や気持ちは伝えにくい。
そこで大事なのは、それを踏まえること。
相手を「許す」、「認める」こと。
この文章だけの世界で、それが出来るようになれば、それはきっとリアルでも役に立つ。
さあ、みなさん2年目が始まります。
ちょうどいい機会です、今心に持っている誰かへの憎い感情なんかリセットしてしまえ。
そうすることが楽しい2年目を過ごす秘訣かなと僕は思います。
みなさん、1周年おめでとうございます!
2年目も楽しく遊ぼうw

そんなマイディーさんの話を、私達は静かに聞いていました。
けれどその眼差しはあの頃の、サスタシャで支援を受けていた頃の色をしていたと思います。
1年経った今でも、マイディーさんを見上げる眼差しは変わらない。
きっと、これからもずっと。
これは私だけかもしれないけれど、だからこそIDで一緒になったりすると、とても緊張しています。
でも、それと同じくらい嬉しくも思っています。
サスタシャの頃は手を引いてもらうことしか出来なかった。
マイディーさんを含む熟練者の方々に守られるしかなかった。

けれど、今はこうして肩を並べて戦える。

まだまだ頼りないけれど、それでも一緒に戦える。
それがとても嬉しい。
まるで、親の背中に少し追いつけた子供のように。
◆

お話が終わった後はマイディーさんへの質問タイムとりなりました。
今悩んでいること、普段聞けないことなどを投げかけるみなさん。
中にはいい感じにお酒が入ってきた人もいたようで名言も生まれます。
そうして時は過ぎ、日付も変わって瞼が重くなってきた頃に催しは終了。
最後に皆でSSを撮影して解散となりました。

素敵なイベント、ありがとうございました!
◆
FCハウスに戻った私は、1階で作業をしていたリリさんに今日のことを話します。

作業中だったにも関わらず、座って真剣に聞いてくれるリリさん。
そうして私は、「今ここにいれて幸せですよ」と照れくさいながらも告白。
すると、「イナゴとか言われて、茶化されてるのにw」と笑われました。
でも、そういう関係が心地いい。
くだらない事で、バカな事で笑い合える日々が誇らしい。
それがいつまでも続くように、今日のことを胸に刻んで生きていこう。
そう決意しながら、

私はイナゴに戻ったのでした。
◆

かつてこの場所で、とある企画が行われていた。
企画名は、「サスタシャに行こう!!」。
その内容は、はじめてのIDに挑む初心者を熟練者が支援するというもの。
メンターシステムがなかったあの頃、多くのプレイヤーがそれによって救われた。
やがてその場所にはガヤが入り、サスタシャ村と呼ばれるようになった。
得られた思い出は数え切れず。
繋がった絆は未だ絶えず。
サスタシャ村は1部のプレイヤーにとってかけがえのないものとなった。
あの企画に参加された全ての方々に感謝を。
どうか、忘れないでほしい。
あの時、手を差し伸べてくれたプレイヤーがたくさんいたおかげで、今もエオルゼアを歩んでいる冒険者がいることを。
みなさんは初心者にとっての光の戦士であったことを。